不定詞 意味上の主語 形式主語 forとofの使い分け


不定詞の意味上の主語

<前回の内容>
不定詞の副詞的用法、結果用法、判断の根拠

 

 

それでは今回の内容を見ていきましょう。
今回は以下の内容になります。

 

「形式主語のItを使う」
「不定詞の意味上の主語」
「forとofの使い分け」
「形式主語の文の書きかえ」

 

 

中学英語と重複する部分がありますが、今回の説明に関係があるのでそこからふれることにします。

 

 

<形式主語のIt>

 

まずは形式主語のItです。
これは分かりますね、例えばこんな文でした。

 

 

「It is important to study English.」
(英語を勉強することは大切です)

 

ウザい例文かもしれませんが我慢してください(笑)

 

 

この文の「It」は主語になっていますが、特に訳す必要はありませんでしたね。実際の意味は

 

「to study」の不定詞の部分でした。

 

 

このように形だけの主語になるItを「形式主語」といい、
実際の内容を表している不定詞の部分を「真主語」といいました。

不定詞の意味上の主語

<不定詞の意味上の主語>

 

では次の例文を見てください。

 

 

「It is important for us to study English.」
(私たちにとって英語を勉強することは大切です)

 

 

今度は「for us」が加わりました。
これは何を表しているかというと、
後ろの不定詞の動作(ここではstudy)をする主(ぬし)が、
主語(It)とは別のものだよ。
ということを表しています。

 

 

これを「意味上の主語」と言います。
意味上の主語は、“不定詞のto”の前に入れます。
他の例文も見てみましょう。

 

 

_______________

 

「I stepped aside for her to pass.」
(私は彼女が通るために脇によけました)
_______________

 

※「to pass」をするのは主語の「I」ではなくて彼女なので不定詞
の前に「for her」とします。

 

 

_______________

 

「It was careless of him to forget the meeting.」
(そのミーティングを忘れるなんて彼は不注意でした)
_______________

 

※「to forget」をするのは主語の「It」ではなく彼なので不定詞
の前に「of him」を入れています。

 

ここでは「careless」が「人の性質」を表す形容詞なので「of」を
使っています。

 

 

 

 

このように不定詞の動作をする人が主語とは別の場合には、不定詞
の前に「for 〜」や「to 〜」を入れて、誰が行うのかを示してあ
げます。

 

 

_______________

 

 

ここで2つのことを確認しましょう。
1つ目は「for」と「of」の使い分け。
2つ目は「形式主語を使う文の書きかえ」です。

forとofの使い分け



<forとofの使い分け>

 

まずは「for」と「of」の書きかえです。
これはすでに知っている人も多いと思いますが、このように分けま
す。

 

 

「of」→「前にある形容詞が“人の評価”をあらわしているとき。

 

 

つまり上の例文でいうと、

 

「It was careless of him to forget the meeting.」
(そのミーティングを忘れるなんて彼は不注意でした)

 

 

この例文の「careless(不注意)」は後ろの「him(彼)」の評価(性
質)を表していますね。

 

ミーティングを忘れてしまうような“注意力がない性格”というこ
とを言っています。

 

 

このように「人の評価・性質」を表す形容詞が使われているときは
「of」を使います。

 

 

そうすると「for」は分かりますね。
そういう意味ではない形容詞の時に使います。

 

これも上の例文で確認します。

 

 

「It is important for us to study English.」
(私たちにとって英語を勉強することは大切です)

 

 

この中の「important(大切)」というのは、後ろの「us(私たち)」
への評価(その人たちの性質)を言っているわけではありませんね。

 

このように使い分けます。

 

 

ところで、「人の性質」を表す形容詞にはどんなものがあるでしょ
う。よく目にするのが次のようなものです。

 

 

〔人の評価を表す(ofを使うことになる)形容詞〕

 

・kind  (親切な)
・careless(不注意な)
・careful (注意力がある)
・wise  (賢い)
・clever (賢い)
・stupid (愚かな)
・foolish (愚かな)
・polite (礼儀正しい)
・rude  (荒々しい)
・gentle (紳士的な)
・nice  (すてきな)

 

などです。

 

 

では次に書きかえの確認をします。

 

形式主語のItを使った文の書きかえはどちらも同じに思えますが、
そうではありません。

 

 

 「It is important for us to study English.」
=「To study English is important for us.
 (私たちにとって英語を勉強することは大切です)

 

 

 「It was careless of him to forget the meeting.」
=「He was careless to forget the meeting.」
 (そのミーティングを忘れるなんて彼は不注意でした)

 

 

これらの例文を見るとあることに気づきますね。

 

上の例文は「to study English」と「to」から後半を文の主語にし
て、

 

最後までいったら、形式主語を除いて「is important for us」に
つなげています。

 

 

「for」を使う形式主語のitの文は、「to以下」が本当の主語(真
主語)なので、

 

「to以下」を文の主語にして書きかえることができるからです。

 

 

 

それに対して下の例文は、
「of him」の「him」を主格の「He」に変えて、形式主語のItと置
きかえています。

 

 

「He was careless」まできたら、
後ろの「of him」を飛ばして「to forget the meeting」につなげ
ています。

 

 

上の例文と違って「of」を使う形式主語の文は「to以下」が文の主
語ではありません。

 

この文では「of him」の「him」が主語になるのです。
なぜかというと、

 

「careless」、「不注意な」というのは「彼」の性質・性格を表し
ていました。

 

 

ということは、「彼=不注意」となるので「He was careless」と
しないといけないことが理解できると思います。

 

 

 

このように、形式主語のItを主語にした文でも、
「for」と「of」のどちらを使っている文なのかによって書きかえ
が変わってくることに注意が必要です。

 

 

今回はここまでです。
最後に今回の内容をまとめておきましょう。

形式主語、意味上の主語、forとofの使い分けのまとめ

<形式主語、意味上の主語のまとめ>

 

Q:不定詞の意味上の主語はどんな時に使う?
A:不定詞の動作をするものが、文の主語と違うときに使う。

 

 

Q:どのように表すのか?
A:不定詞のtoの前に「for + 目的格」か「of + 目的格」を入れる。

 

 

Q:forとofはどう使い分けるのか?
A:「人の性質・性格を表す形容詞」のときは「of」、それ以外は「for」を使う。

 

 

Q:「人の性質を表す形容詞」とは?
A:次のようなものが代表的です。

 

〔人の性質を表す(ofを使うことになる)形容詞〕

 

・kind  (親切な)
・careless(不注意な)
・careful (注意力がある)
・wise  (賢い)
・clever (賢い)
・stupid (愚かな)
・foolish (愚かな)
・polite (礼儀正しい)
・rude  (荒々しい)
・gentle (紳士的な)
・nice  (すてきな)

 

 

Q:形式主語のItを使った文の書きかえはどうなる?
A:forを使う場合はto以下を主語にする。

 

例)
 「It is important for us to study English.」
=「To study English is important for us.
 (私たちにとって英語を勉強することは大切です)

 

 

 ofを使う場合はofの後ろの語を主語にする。

 

例)
 「It was careless of him to forget the meeting.」
=「He was careless to forget the meeting.」
 (そのミーティングを忘れるなんて彼は不注意でした)

 

 

 

次回は不定詞の否定を解説していきます。