分詞構文 with+名詞+分詞


<前回の内容>
分詞構文(独立分詞構文)

 

前回は独立分詞構文について説明しました。
ポイントはこうです。

 

 

_______________

 

<ポイント>

 

「独立分詞構文」
→主節と従属節で主語が違う時は、どちらの主語も消さない!

 

 

例)

 

「As it was rainy, I decided not to go out.」

 

   ↓

 

「It being rainy, I decided not to go out.」
(雨なので、私は外出しないことにした)
_______________

 

 

 

今回は「with + 名詞(句) + 分詞」というお話をしていきます。
前回「独立分詞構文」を勉強しましたね。
独立分詞構文は

 

 

 

「主節と従属節の主語が違うので、従属節の主語も消さないで残す」

 

 

 

というものでした。
今回の「with + 名詞(句) + 分詞」も独立分詞構文の一種になります。例えば、次の例文を見てください。

 

 

例1)
「The car was parked with the engine running.」
(その車はエンジンがかかったまま停まっていました)

 

 

前半の「The car was parked」は分かりますね。
後半の「with the engine running」は「エンジンがかかったまま」という意味になっています。

 

 

「with」の後ろの「engine」と「running」が「主語・動詞」の関係になっていると考えてもらえると分かりやすいでしょう。

 

 

「engine(エンジンが)running(かかっている)」

 

 

このような関係です。
次の例文も同じです。

 

 

例2)
「It was very cold yesterday with a chilly rain falling.」
(昨日は冷たい雨が降るとても寒い日でした)

 

 

前半の「It was very cold yesterday」は「昨日はとても寒かった」。

 

後半の「with a chilly rain falling」の部分は「chilly rain(冷たい雨が)falling(降っている)」となっています。

 

 

 

これら2つの例文から「with + 名詞(句) + 分詞」の使い方は大体理解できたと思います。

 

 

 

では次に以前説明した次の例文を見てください。

 

 

例3)
「She ran to me, waving her hands.」
(彼女は手を振りながら私の方に走ってきました)

 

 

これは分詞構文の「付帯状況の同時動作」というものでした。
ここで使われている「waving」は「〜しながら」と訳しましたね。

 

 

よくこんな質問を受けます。

 

 

「先生、付帯状況(同時動作)の『〜しながら』とwithがつく言い方が似ていて違いがよく分からないのですが。」

 

 

 

たしかに!
下の文は「〜しながら」と考えてもおかしくなさそうです。

 

 

例1)
「The car was parked with the engine running.」
(その車はエンジンがかかったまま停まっていました)

 

 

この例文では「with」を使っているのに、

 

 

「She ran to me, waving her hands.」
(彼女は手を振りながら私の方に走ってきました)

 

この例文ではwithを使っていません。

 

 

「The car was parked with the engine running.」
(その車はエンジンがかかったまま停まっていました)

 

のようにwithを使う場合はどこが違うのか。

 

 

違いが分かりますか?

 

 

それは分詞構文の「〜ing」の動作主が一致しているか、いないかの違いです。

 

 

 

「She ran to me, waving her hands.」
(彼女は手を振りながら私の方に走ってきました)

 

 

この例文の「waving(振りながら)」の動作主は文の主語と同じ「she」ですね。

 

 

それに対して、

 

 

「The car was parked with the engine running.」
(その車はエンジンがかかったまま停まっていました)

 

 

この例文の「running」の動作主は「engine」ですね。
文の主語である「The car」ではありません。

 

 

つまり、

 

 

 

「分詞構文の動作主が主語と同じとき
→「with 〜」の形にしない。

 

※「She ran to me, waving her hands.」
(彼女は手を振りながら私の方に走ってきました)
→「手を振っている」「走っている」はどちらも彼女が主語。

 

 

「分詞構文の動作主が主語と違うとき
「with 〜」の形にする。

 

※「The car was parked with the engine running.」
(その車はエンジンがかかったまま停まっていました)
→「停まっている」のは車が主語で「かかっている」のはエンジンが主語。

 

 

このように判断して使い分けをします。

with + 名詞(句) + 過去分詞もあるの?

<with + 名詞(句) + 過去分詞になる?>

 

 

では次にもう一つ説明します。
次の例文を見てください。

 

 

例4)
「He was sitting on the sofa with his legs crossed.」
(彼は脚を組んでソファーに座っていました)

 

 

前半の「He was sitting on the sofa」は問題ないですね。
注目してもらいたいのは後半です。

 

 

「with his legs crossedとなっています。
ここです。

 

 

「あれ? with の後ろには最後に「〜ing」の分詞構文がくるんじゃなかったかな? 
なんで過去分詞の「crossed」になっているんだろう。」

 

 

という疑問がわきませんか。
そのような疑問が出た人は、きちんと一つひとつ確認して文を見ている人ですね、いいですよ。

 

 

ではなぜここでは「〜ing」ではなくて「過去分詞」になっているのでしょう。実はこういうことです。

 

 

 

「with his legs crossed」は「脚を組んで」と訳しています。
上でこんな説明をしましたね。

 

 

「with the engine running」は「engine(エンジンが)」「running(かかっている)」となって主語動詞の関係ですよ。

 

 

これと同じように考えると、

 

 

「with his legs crossed」は「his legs(彼の脚が)」「(being) crossed(組まれている)」となるのです。

 

 

「脚」は文の主語の彼によって「組まれる」と考えます。
つまり受動態です。そしてここがポイントですが、

 

 

『分詞構文ではbeingは省略できる』

 

 

ということです。
ですから本来は「with his legs being crossed」ということで、ふつうに分詞構文の「being」があったのですが、

 

 

「being」は省略できるから消えてしまった結果、過去分詞だけが残り、見た目には分詞構文の「ing」がない文のように感じるということです。

 

 

 

ここが理解できないと、なんとなくという感覚や慣れで問題をとくようになりがちです。上のように考えてもらうと分かるでしょう。

 

次の例文も同じです。

 

 

 

例5)
「The girl lay on the bed with her eyes closed.」
(その女の子は目を閉じてベッドに横になりました)

 

例6)
「My mother was angry with her arms folded.」
(私のお母さんは腕を組んで怒っていた)

 

例7)
「I was reading a book with the window closed.」
(私は窓を閉めて読書をしていました)

 

 

 

上の例5〜例7はどれも

 

「her eyes(目は)」「(being) closed(閉じられて)」
「her arms(腕は)」「(being) folded(組まれて)」
「the window(窓は)」「(being) closed(閉じられて)」

 

 

のように受動態の関係だから「being + 過去分詞」。
しかし「being」は省略できるから過去分詞だけが残る

 

 

こうなっています。
今回の内容は理解できたでしょうか。
では最後に今回の内容をまとめておきましょう。



<ポイント>

 

・「with + 名詞(句) + 分詞」
→後ろにくる分詞の動作主が主語と違うときにこの形になる。

 

例)
「The car was parked with the engine running.」
(その車はエンジンがかかったまま停まっていました)

 

※「running」の動作主は「engine」であり、主語の「The car」で
はない。

 

_______________

 

・分詞の動作主が文の主語と一致しているときは「with 〜」の形
にはならない。

 

例)
「She ran to me, waving her hands.」
(彼女は手を振りながら私の方に走ってきました)

 

※「waving」の動作主は文の主語「she」なので「with 〜」として
いない。

 

_______________

 

・「with + 名詞(句) + 分詞」の分詞が過去分詞になる場合もある。
→名詞(句)と分詞が受動態の関係になるときは、beingが省略される。

 

例)
「He was sitting on the sofa with his legs crossed.」
(彼は脚を組んでソファーに座っていました)

 

※「his legs(彼の脚)」は「(being) crossed(組まれる)」という
関係。さらに「being」は省略できる。

 

 

 

次回分詞構文の慣用表現について説明していきます。