使役動詞とは?
<前回の内容>
不定詞の受動態
前回の内容をかるく確認してみましょう。
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「不定詞の受動態」
形 :「to be + 過去分詞」
例文:「I don't like to be made fun of.」
(私はからかわれるのが好きではありません)
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さて、今回は使役動詞の中で使われる原形不定詞について説明していきます。
そもそも「使役動詞」というのは何か?
「使役」というのは「させる」という意味です。
「使役動詞」というのは「誰かに何かをさせる」という意味を表す動詞になります。
そしてこの使役動詞を使うときに原形不定詞というものを使います。
今回は使役動詞の説明を中心に原形不定詞も確認していきます。
<使役動詞>
使役動詞と呼ばれるものには次のものがあります。
「make」
「have」
「let」
これらの動詞を使役動詞と言います。
もちろん「make」「have」にはふつうに「作る」「持っている」という意味もありますが、ここでは使役動詞としての使い方に限定して説明します。
ここで説明する3つの使役動詞は全て共通のルールがあります。
それがこれです。
使役動詞の共通点
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「使役動詞 + 目的語 + 原形不定詞」
※原形不定詞とは「to + 動詞の原形」が通常の不定詞だとすると
そこから「to」がなくなったものを言います。
つまり、見た目はただの「動詞の原形」になります。
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「使役動詞 + 目的語 + 原形不定詞(動詞の原形)」という使い方が共通です。
ではこのことを頭に入れながら下の解説を読み進めてください。
使役動詞のmakeの詳細
【強制力のあるmake】
まずは「make」です。
使役動詞の「make」は「相手が嫌がっていても強制的にやらせる」という意味があります。
次の例文を見てください。
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「My mother made me clean my room.」
(私の母は私に部屋の掃除をさせました)
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怖いですね(笑)
子どもの部屋が散らかっているので、お母さんが子どもに有無を言
わさず掃除をさせている様子が浮かびます。
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「Our teacher makes us study three hours a day.」
(私たちの先生は私たちに一日3時間勉強をやらせます)
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先生が生徒に毎日のノルマを与えている様子です。
生徒がブーブー言ってもやらせているイメージが伝わってきます。
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「This movie made me cry.」
(この映画は私を泣かせます)
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無生物が主語ですが、こういう文も作れます。
本人の意思にかかわらず、その映画を見ると泣いてしまうので、
ある意味「強制的に泣かされている」という表現を使っています。
このように、
「相手が嫌がっていても強制的に何かをやらせる」というときにこの表現を使います。
ちなみに・・・
使役動詞を使った文は以前説明した文型だと第5文型になります。
次の文も同じ第5文型になりますが、ここで使われている「make」は使役動詞ではありません。
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「The news made me happy.」
(そのニュースは私を嬉しくさせました)
→私はそのニュースを聞いて嬉しくなった。
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「make」が「させる」という意味に変わりはありません。
あくまでも文法的な話なので、一応お話ししておきます。
この文の場合、最後の「happy」が原形不定詞ではないですよね。
これは形容詞です。
使役動詞の使い方は「使役動詞 + 目的語 + 原形不定詞」といいました。
「原形不定詞」というのは「to」がとれた不定詞なので、見た目は“動詞の原形”になるのでしたね。
目的語の次の語が
「原形不定詞(動詞の原形)」か
「形容詞」か
という違いがあります。
文法上は「原形不定詞」がくる場合の「make」を使役動詞といっています。
そこが違っているということです。
使役動詞のletの詳細
【やらせてあげるlet】
次に「let」を見てみましょう。
今度の場合は上の「make」とは真逆で、
「やりたいことをやらせてあげる」
ということを表しています。
次のように理解してください。
「使役動詞のmake」→「嫌でもやらせる」
「使役動詞のlet」 →「やりたいことをやらせてあげる」
次の例文を見てください。
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「My father let me go abroad alone.」
(私の父は私に一人で外国に行かせてくれました)
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私(本人)は一人で外国に行きたい。
それをお父さんが許可してくれたという内容ですね。
このように「やりたいことをやらせてあげる」という内容にするには「let」を使います。
ちなみに、
「let - let - let」と変化しますが、ここでは過去形として使っているのは分かりますか?
主語が三人称単数なのに三単現のSがついていないので過去形だと判断できます。
もう一つ例文を見てみましょう。
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「Let me introduce myself.」
(自己紹介をさせてください)
→私に私自身を紹介させてください。
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これも「let + 目的語(me) + 原形不定詞(introduce)」となっているので、使役動詞の使い方だと分かりますね。
このように命令文で使うこともできます。
使役動詞のhaveの詳細
【中間の意味のhave】
最後は「have」です。
使役動詞のhaveは上で説明した「make」と「let」の中間になります。
強制的にやらせる「make」
やりたいことをさせてあげる「let」
この中間ということで、「〜してもらう」というニュアンスになります。
たとえば例文を挙げると、
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「I had him carry my bag.」
(私は彼にカバンを運んでもらった)
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この文から受ける印象は「彼に強制的にではなく運んでもらった」という感じになります。
また「have」を使う時の考え方としては、
『やって当然のことをさせる』
ということもできます。
例えば仕事でそれをするのが当然のときがそうです。
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「His boss had him hand in the report.」
(上司が彼にレポートを提出させました)
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上司ということで、会社の話と分かります。
上司が部下にレポートを提出させるというのは、ある意味仕事の一環になります。
今回は「使役動詞」の説明を中心に「原形不定詞」の説明もしていきました。
最後に今回の内容をまとめて確認してください。
不定詞の使役動詞のまとめ
<今回のまとめ>
Q:使役動詞の種類は?
A:「make」「have」「let」の3種類。
Q:原形不定詞とは?
A:不定詞は「to + 動詞の原形」だが、そこから「to」がとれたも
ののこと。つまり見た目は「動詞の原形」。
Q:使役動詞の使い分け方は?
A:「make」→「嫌がっていても“強制的にさせる”」
「let」 →「やりたいことを“やらせてあげる”」
「have」→「強制力は弱く“してもらう”」
※または「当然のことを“させる”」
Q:使役動詞の使い方は?
A:「使役動詞 + 目的語 + 原形不定詞(動詞の原形)」
以上になります。
次回は原形不定詞を使うもう一つの知覚動詞を説明していきます。