不定詞の完了形とは?
<前回の内容>
不定詞の代不定詞
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<代不定詞のまとめ>
Q:代不定詞って何?
A:不定詞の後ろの動詞がくり返しになる場合、toで止めて動詞は省略する言い方。
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また、代不定詞は長文の中でサラッと書いてある場合に、どんなことか分かれば大丈夫です。
さて、今回は「不定詞の完了形」の話をしていきます。
これはとても大切な内容で、長文でもこれが使われている文が出ますが、文法問題でも頻出です。
では早速始めていきましょう。
不定詞の完了形の形と意味
<不定詞の完了形>
まず不定詞の完了形というのはどんな形なのか?
そこから確認しましょう。
不定詞の完了形はこのように表します。
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(不定詞の完了形)
形:to have + 過去分詞
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ということで、形は分かるでしょう。
次はどんな時に使うのかです。
不定詞の完了形を使うのは
「不定詞の内容が主節の時制よりも一つ古くなる場合」
になります。
ここで4つの書きかえ例文を挙げておきます。
これらを通して書きかえ方と不定詞の完了形を理解してください。
不定詞の完了形を使った書きかえ
<不定詞を使った書きかえ>
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例1)
「It seems that he is busy.」
=「He seems to be busy.」
(彼は忙しそうです)
例2)
「It seems that he was busy.」
=「He seems to have been busy.」
(彼は忙しかったようです)
例3)
「It seemed that he was busy.」
=「He seemed to be busy.」
(彼は忙しそうでした)
例4)
「It seemed that he had been busy.」
=「He seemed to have been busy.」
(彼は忙しかったようでした)
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上に挙げた4つの書きかえが理解できるようになりましょう。
例2)と例4)でto have beenと不定詞の完了形が出ています。
一つずつ説明をしていきますが、その前に一つだけ押さえておきたいポイントは、
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・「seemの時制とbe動詞の時制が同じ場合」
→「to + 動詞の原形」
・「seemの時制よりbe動詞の時制が古い場合」
→「to have + 過去分詞」
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こうなります。
これを頭に入れてこれからの説明を読み進めてください。
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例1)
「It seems that he is busy.」
=「He seems to be busy.」
(彼は忙しそうです)
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まずは一つ目です。
ここで使われている「seem」というのは「〜に思われる」という意
味です。
上の分ですが、Itは形式主語で真主語はthat以下になります。
that以下が「彼は忙しい」なので
「彼は忙しそうに思われる」
→「彼は忙しそうです」
という意味になります。
さて、ここから注目です。
この文を不定詞を使って書きかえると、こうなります。
「It seems that he is busy.」
↓
「He seems to be busy.」
(彼は忙しそうです)
上の文は「seems」と三単現のSがついていることからも分かるよう
に、これは現在形です。
「“今”思われる」ということです。
そして後ろを見ると「he is busy」になっているので、「is」だか
らこれも現在形です。
「“今”忙しい」のです。
つまり、
「It seems that he is busy.」という文は
「今忙しいと、今思われる」ということでどちらも現在のことを言
っています。
そして、
「seemの時制とbe動詞の時制が同じ」
→「to + 動詞の原形」
といったように時制が一致しているので、書きかえるとこうなりま
す。
「He seems to be busy.」
文章で伝えようとすると難しいですね。
分かりずらいかもしれませんが、頑張って理解してください。
では次に例2)を説明します。
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例2)
「It seems that he was busy.」
=「He seems to have been busy.」
(彼は忙しかったようです)
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ごちゃごちゃ言わず、ポイントだけ押さえて進めましょう。
「It seems that he was busy.」
・「seems」なので現在(今思われる)
・「was」なので過去(過去に忙しかった)
※「過去に忙しかったと今思われる」ということ。
↓
時制がずれている
↓
書きかえは「to have + 過去分詞」を使う。
↓
「He seems to have been busy.」
(彼は忙しかったようです)
こんな感じの流れです。
次は例3)を見てください。
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例3)
「It seemed that he was busy.」
=「He seemed to be busy.」
(彼は忙しそうでした)
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「It seemed that he was busy.」
・「seemed」なので過去(過去に思われた)
・「was」なので過去(過去に忙しかった)
↓
時制は過去でそろっている。
↓
書きかえは「to 動詞の原形」を使う。
↓
「He seemed to be busy.」
(彼は忙しそうでした)
この文の書きかえは時制がどちらも過去でそろっていたので、
「to + 動詞の原形」になっています。
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例4)
「It seemed that he had been busy.」
=「He seemed to have been busy.」
(彼は忙しかったようでした)
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最後の文です。
「It seemed that he had been busy.」
・「seemed」なので過去(過去に思われた)
・「had been」なのでさらに古い過去(大過去に忙しかった)
↓
時制ずれている。
↓
書きかえは「to have + 過去分詞」を使う。
↓
「He seemed to have been busy.」
(彼は忙しかったようでした)
この文の書きかえは時制がずれているので「to have + 過去分詞」
になっています。
このように4パターンありますが、分かりますか?
ではここまでの説明をふまえて次の日本文を英文にしてみましょう。
不定詞の書きかえの練習問題
<練習問題>
次の日本文をそれぞれ2種類の英文に直しなさい。
1.あなたは疲れているようです。
2.あなたは疲れていたようです。
3.あなたは疲れているようでした。
4.あなたは疲れていたようでした。
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1.あなたは疲れているようです。
これは、
「疲れている」→現在
「そう見える」→現在
このようにどちらも時制は現在でそろっている内容です。
最初は「It」で始まる文から書いた方が分かりやすいと思います。
→「It seems that you are tired.」
「It seems」で現在形。
「you are」で現在形ですね。
これを書きかえると、
→「You seem to be tired.」
こうなります。
「You seem」で現在形。
「to be」のように「to + 動詞の原形」は前の時制と同じ、つまり
現在形です。
「It seems」に引っぱられて、誤って「You seems」としないよう
に気をつけてくださいね。
正解)
「あなたは疲れているようです」
→「It seems that you are tired.」
→「You seem to be tired.」
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2.あなたは疲れていたようです。
今度は、
「疲れていた」→「過去」
「そう見える」→「現在」
今度の場合はこのように時制がずれています。
ではItで始まる文から。
「It seems that you were tired.」
「It seems」で現在。
「you were」で過去。
時制がずれていますね。
では書きかえると、
「You seem to have been tired.」
「You seem」で現在。
「to have been」で一つ時制が古いことを表しているので過去とな
ります。
正解)
「あなたは疲れていたようです」
→「It seems that you were tired.」
→「You seem to have been tired.」
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3.あなたは疲れているようでした。
では3つ目です。
今度の文は注意が必要です。
「あなたは疲れているようでした」という日本語を見ると、
「あなたは見えた」→「過去」
「疲れている」 →「現在」
このように考えてしまうかもしれませんね。
でも違います。
「現在疲れているのを昔(過去)に見えた」というのは変ですよね。
この問題はどちらも過去になります。
次の4番の問題と区別するために日本語ではここで「疲れていた」
とはしません。
ということで、この問題はどちらも過去の内容となります。
このことに注意して文を作ります。
まずはItの文から。
「It seemed that you were tired.」
こうなります。
「seemed」「were」とどちらも過去形になっていますね。
では書きかえです。
「You seemed to be tired.」
これです。
過去で時制が一致しているので「to + 動詞の原形」になります。
正解)
「あなたは疲れているようでした」
→「It seemed that you were tired.」
→「You seemed to be tired.」
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4.あなたは疲れていたようでした。
最後の問題です。
この文は次のようになっています。
「あなたは見えた」→「過去」
「疲れていた」 →「大過去」
3番の問題文と日本語がとても似ています。
3番→「あなたは疲れているようでした」
4番→「あなたは疲れていたようでした」
「疲れている」と「疲れていた」の部分だけですね。
これだけの違いですが、
3番→「過去に疲れていたのを、過去の同じときにそう見えた」
4番→「大過去に疲れていたのを、過去のときにそう見えた」
という違いが生じます。
ではこの文を英語にしてみましょう。
「It seemed that you had been tired.」
「It seemed」 →「過去」
「you had been tired」 →「大過去」
次は書きかえた文です。
「You seemed to have been tired.」
「You seemed」 →「過去」
「to have been」→「時制が一つ古い、つまり大過去」
このようになります。
正解)
「あなたは疲れていたようでした」
→「It seemed that you had been tired.」
→「You seemed to have been tired.」
不定詞の完了形のまとめ
<今回のまとめ>
「不定詞の完了形」
形 :「to have + 過去分詞」
例文:
「あなたは疲れていたようです」
→「It seems that you were tired.」
→「You seem to have been tired.」
「あなたは疲れていたようでした」
→「It seemed that you had been tired.」
→「You seemed to have been tired.」
この4パターンの文はきちんと整理して覚えておきましょう。
次回は不定詞の進行形を説明していきます。